目次9
01揉めやすい箇所を先に決める
契約書は揉めたときに読む書類です。網羅的な条文を作るより、実際に争いになりやすい箇所を決めておくほうが実用的です。少額の取引なら、発注書に以下の項目を書いておくだけでも機能します。
021. 品質基準と契約不適合
「良品を納品する」では基準になりません。仕様書と検査基準書を契約の別紙として添付し、限度見本の存在を明記します。あわせて、不適合が見つかった場合の救済(修補・代替品・減額・解除)と、検査期間・通知期間を定めます。期限の考え方はOEMで不良品が届いたらどうなる?で扱っています。
032. 納期
- 納期の起算日(発注日か、仕様確定日か、前払金の入金日か)
- 遅延時の連絡義務と、判明時点での対応
- 分納の可否と、分納時の検品・支払いの扱い
- 遅延が続いた場合の解除条件
043. 支払い
| 項目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 支払い時期 | 前払いの比率、残金のタイミング(出荷前/検品後) |
| 通貨とレート | 外貨建ての場合の基準レートと為替差の負担 |
| 初期費用の扱い | 金型代・版代の支払い時期と、再発注時の免除 |
| 相殺 | 不良分の減額を次回発注で精算するかどうか |
054. 知的財産
後で争いになりやすい項目です。デザイン・図面・データを渡す取引では、次の3点を明記します。
- 権利の帰属:発注側が提供したデザイン・データの権利は発注側に残ること
- 金型・型紙の所有権:費用を負担した側の所有、保管期間、返却条件
- 類似品の制限:同一・類似の製品を第三者に製造・販売しないこと
065. 秘密保持
発売前の企画、原価、取引先の情報を守る条項です。対象となる情報の範囲、期間、契約終了後の扱い(返却・破棄)を決めます。仕様やデザインを渡す前、つまり見積もり依頼やサンプル依頼の段階で締結するのが一般的です。
076. 製造物責任と表示
自社ブランドを付けて販売する場合、発注側も表示上の製造業者として製造物責任を問われることがあります。製品事故が起きたときの初動、回収(リコール)の判断権、費用負担、保険の加入をどちらが行うかを決めておきます。表示(品質表示、原産国、注意表記)の作成責任も明確にします。
087. 解除と残った在庫
- 解除できる条件(重大な品質不良、長期の遅延、支払い遅延)
- 解除時の仕掛品・材料の扱いと精算方法
- 在庫として残った製品の引き取り義務
- 取引終了時の型・データ・見本の返却
見積もり段階での確認項目はOEMの見積もりで確認するべき項目、起きやすい問題はOEMでよくあるトラブル10選で解説しています。
FAQよくある質問
OEM契約書は必ず必要ですか?
法律上は必須ではありません。ただし品質基準・納期・支払い・知的財産の4点は、発注書や見積書の形でも書面に残しておくべき項目です。
金型代を払えば金型は自分のものになりますか?
契約に所有権の記載がなければ争いになり得ます。所有者・保管・返却条件を明記してください。
秘密保持契約はいつ結びますか?
仕様やデザインを渡す前、つまり見積もり依頼やサンプル依頼の段階が適切です。
工場側が用意した契約書をそのまま結んでもいいですか?
検査期間・通知期間、不良時の救済、知的財産、解除条件は発注側に不利に設定されていることがあります。この4点は必ず確認してください。